▼オペラ/音楽劇研究所2015年度1月研究例会-2(第146回オペラ研究会) 終了

◇日時:2016年1月30日(土)17:00-18:30    

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス22号館 202教室
◇内容:研究発表(博士論文報告)
・発表者:萩原里香
・題目:「イタリア音楽劇の黎明期における「コラーゴ」に関する試論
     ~舞台上演責任者という職の成立をめぐって~」

[発表内容]
 昨年度東京芸術大学へ提出した博士論文の内容及びその後の研究の進捗状況が報告された。博士論文で扱ったテーマは、「コラーゴ」という、ルネサンス後期からバロック初期の北イタリアにおいて、舞台上演責任者として活躍した役職である。コラーゴは当時マントヴァやフェッラーラなどに存在した知識人たちの集まりである、アッカデーミアの演劇活動において中心的立場にあり、舞台芸術に関する企画力と統率力を持ち、ときには宮廷をもその活動の場としていた。コラーゴの仕事を確立するのに大きな功績があったと考えられるエンツォ・ベンティヴォッリオを扱った章を中心に報告が行われた。コラーゴという役職が様々な要素の融合する、誕生間もない音楽劇というジャンルを発展させるために不可欠な役職であったことが明らかにされた。またこれはヴェネツィアの商業オペラで大きな役割を担うインプレザーリオの先駆け的存在であろうとの推論が提出された。
 さらには音楽劇発展の次なる地であるヴェネツィアにオペラが導入されるまでの過程も考察された。この共和制都市国家の貴族は、フィレンツェやマントヴァなどの君主国のそれとは異なり、国政に関わるか商業活動をするかに大きく二分された。後者のタイプの貴族によって低迷していた交易に代わるものとしてオペラが導入されたという説が提示された。しかしコラーゴとインプレザーリオとをつなぐ直接的根拠の明示には至っていない。今後の課題とする。

 

[質疑応答](一部紹介)

コラーゴとインプレザーリオとの大きな違いは何かという問いがあったが、前者は招待さ

れた貴族のみを観客と想定し、上演の場が祝祭という状況であったため費用への配慮は不要だった。後者は貴族のみならず市民や平民などあらゆる層を観客と想定し、劇場運営上の採算を重視していた。その他活発な質疑応答が行われた。

 

[参加者]13名

 

◇発表者プロフィール

 日本大学芸術学部卒業、同芸術学部長賞受賞。東京芸術大学大学院音楽文芸修士課程修了、同博士課程修了(博士[学術])。2011年から2013年までイタリア政府給付奨学生としてボローニャ大学に留学。専門は、17世紀のイタリアオペラ。現在、早稲田大学オペラ/音楽劇研究所招聘研究員。

2016年1月30日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
2016年1月30日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
▼オペラ/音楽劇研究所2015年度1月研究例会-1(第145回オペラ研究会) 終了

 

◇日時:2016年1月9日(土)17:00-18:30    

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス22号館 202教室

◇内容:研究発表
・発表者:舘亜里沙
・題目:「ワーグナー《ニーベルングの指環》上演実践の可能性
     ―2010-2012フランクフルト歌劇場の演出を軸に―」

 

[発表内容]

 ワーグナーの楽劇《ニーベルングの指環》は、オペラ作品の中でもとりわけ 20 世紀後半に様々な演出が試みられており、その作品解釈についてはある程度出尽くしたと言える。その一方で 21世紀に入ってからの諸演出が多くの観客の目を引いたのも確かであり、それらの演出を評価するには、従来の「いかに作品を解釈しているか」とは別の観点が必要となっている。

 本発表では、2010-2012 年フランクフルト歌劇場でのヴェラ・ネミロヴァ Vera Nemirova

(1972-)による演出を考察対象とし、近年の《指環》演出に対する一つの視座を提示した。発表の前半では、第 2 次世界大戦終結~20 世紀末の、通説的な《指環》演出史を紹介した上で、過去の作品解釈とその表現が、ネミロヴァの演出に投影されている様相を示した。発表の後半では、前述の通り作品解釈の観点からすれば「過去の集積体」とも言える彼女の演出に対して、現在時間(≒上演時間)の扱いという観点から、その独創性を指摘することを試みた。

 考察にあたって、《ヴァルキューレ》第 2 幕第 1 場~第 2 場を集中的に採り上げた。この場面は台本に長い過去の語りが含まれており、従来の演出では極端に舞台上の動きが減る箇所であった。だがネミロヴァの演出では、舞台上の人物達が文字を書く/消すという行為が加えられ、舞台上の現在時間に音楽的契機が活用されることで、冗長さが回避されている。

 

[質疑応答](一部紹介)

 フロアからは、やはり「過去の語り」の見せ方が特徴的な他の演出が話題にのぼった他、近年

オペラ演出全般に影響を与えている映像の効力についても、多々コメントが挙がった。こうした

質疑応答の様相からも、《指環》演出あるいはオペラ演出が、「いかに作品を解釈している」だけではなく「いかに作品を上演するか」という角度からも観られなければならないことが窺える。

 

◇発表者プロフィール

 東京藝術大学音楽学部楽理科、同大学院音楽研究科を経て、同大学院博士後期課程在籍(音楽学)。2009年安宅賞受賞。2008年より演出家として活動する傍ら、ワーグナー《ニーベルングの指環》の演出を中心に研究を行う。2014年3月日本ワーグナー協会例会にて《ラインの黄金》諸演出について講演。

2016年1月9日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
2016年1月9日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所2015年度12月研究例会(第144回オペラ研究会) 終了

 

◇日時:2015年12月12日(土)16:00-18:40

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス22号館 202教室

◇内容:第1部 オペラ/音楽劇のキーワーズ 第9回(16:00-17:00)

      発表者:溝口 祥夫

      発表題目:「見張塔から眺め続けた宝塚歌劇」    

     第2部  研究発表(17:10-18:40)

      発表者:奥 香織

      発表題目:「初期オペラ=コミックのドラマトゥルギー

            -公権力、観客との関係性をめぐって-」  

 

[第2部 研究発表内容]

 18世紀初頭のパリでは公権力に認められた劇場は限られていたが、定期市においても非公 認のままに演劇が行われていた。オペラ=コミックは公認劇場の圧力によって制約を受ける定期市の舞台で生み出されたものであり、誕生の経緯そのものに公権力とのせめぎ合いが認められる。台詞が禁止されるなかで、まずは観客が掲示された台詞を歌い、次に俳優が全編を歌う形式が試みられ、最終的に歌と台詞が混在する形式へと発展していくからである。形式の変容には観客の意向も反映されているが、初期のオペラ=コミック(あるい はその原初的なかたち)は特に観客を意識した作劇法となっている。例えば1714年のルサ ージュ作品は、虚構空間へと観客を引き込むメタシアトリカルな仕掛け、イタリア喜劇の類型的人物の特質を巧みに生かして観客を楽しませる作劇法を持つ。芸術的・美学的観点からは軽視されがちである生成期のオペラ=コミックについての検討がなされ、そのドラマトゥルギーとは上演・権力・観客との複雑な関係性を示すものであることが明らかにされた。  

 

[質疑応答]

 ルサージュ作品に頻出するアルルカン(アルレッキーノがフランス化したもの)と同時代(あるいはその前後の時代)の公認劇場に登場するアルルカンの性質の相違・比較について、特に活発な議論がなされた。相違について、例えばイタリア人劇団来仏後にマリヴォー劇に頻出するアルルカンは、元来の性質が巧みに生かされながらも「洗練」され、身体性・道化性が薄れ、定期市舞台とは異なる様相を呈するとの回答がなされた。このテーマのほか、オペラ=コミックの変容や諸外国への影響など、さまざまな観点からの議論が行 われた。 

  

[参加者]15名

 

◇報告者/発表者 プロフィール

溝口 祥夫

 1969年生まれ、会社員・ケーナ奏者。1992年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。マスコミ勤務の後、教育関連産業従事の傍ら、1999年ごろより『宝塚アカデミア』(青弓社)・『宝塚プラス』(小学館クリエイティブ)で宝塚評論を執筆、編集同人も歴任。さらにアンデス地方の笛・ケーナ奏者として20年以上活動し、現在もライブハウスなどで年40本以上ライブ演奏を行う。

 

奥 香織

 早稲田大学文学研究科博士課程単位取得退学、パリ第4大学博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学ほか非常勤講師。専門はフランスの舞台芸術。現在の主な研究対象は18世紀フランスの舞台実践、演劇美学。論文:「マリヴォーにおける「露呈」の演劇性」(『演劇と演劇性』、早稲田大学演劇映像学連携研究拠点、2014)、「ルサージュの初期作品にみるアルルカンの表象」(『西洋比較演劇研究』2015)など。 

2015年12月12日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所2015年度11月研究例会(第143回オペラ研究会) 終了


◇日時:2015年11月7日(土)16:00-19:00

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス22号館 202教室

◇題名:「ドニゼッティ《ランメルモールのルチア》(オペラ彩12月公演)をめぐって」

第1部 イントロダクション:オペラ史のなかの《ルチア》 発表者:丸本隆

第2部 《ルチア》制作の現場から 発表者:和田タカ子


[内容]

オペラ彩は埼玉県の一都市を拠点に 30 年以上にわたりオペラ公演を続けてきた非営利活動 法人であり、その活動は地方・地域に根ざした本格的なオペラ上演の実践という点で、日本 には数少ない注目すべき事例といえる。そのオペラ彩は現在、ドニゼッティの《ランメルモール のルチア》の 12 月公演を企画中であるが、本発表の目的は、それを機に制作現場との交流 を通じてオペラの学術研究の深化を目指そうとするものであった。第 1 部では研究者の立場 から、18 世紀後半以来のオペラ改革の一つの到達点としてのこの作品の歴史的意義を探り つつ、作品分析に際してのいくつかのポイントを考察し、特にその「ロマン主義」、「狂乱の場」、 「ベルカント」との関連性について詳述した。第 2 部では制作者の立場から、これまでのオペラ 彩の制作活動、とりわけ財政基盤の確立、会場の手配からパフォーマーの人選、実際の舞 台化までのプロセスにおいて生じるさまざまな問題点や観客の反応、さらに今回の《ルチア》 公演を通じた新たな解釈上の発見等について報告がなされた。

 

[質疑応答]

二つの発表を受けた第 3 部のディスカッションでは、当該公演の指揮者であるニコレッタ・コン ティ氏のトークも交えて活発な議論が展開された。この議論でもっとも大きな関心を集めたの は「狂乱」のテーマであったが、《ルチア》における「狂乱の場」がこの作品に特徴的なベルカ ント歌唱とどれほど密接に関連したものか、他の時代のオペラにみられる「狂乱」の場合とど のような違いがあるのか、といった点についてさまざまな観点からの意見交換がなされ、それ を通じて発表者、フロアの参加者ともども《ルチア》の作品理解が大きく深まった。

 

[参加者]27名

 

◇発表者プロフィール

和田タカ子

 特定非営利活動法人オペラ彩理事長 声楽家 プロデューサー 1984年、朝霞オペラ振興会(現 オペラ彩)を創設、自主制作によるオペラを32年間連続上演して今日に至る。全日本オペラネットワーク運営委員長。プロデュース作品の受賞歴 佐川吉男音楽賞奨励賞(トゥーランドット)、三菱UFJ信託音楽賞奨励賞 (ナブッコ)、三菱UFJ信 託音楽賞(マリア・ストゥアルダ) 


丸本隆

 早稲田大学名誉教授。専門は 演劇学、オペラ研究。オペラ関係の著作:『オペラの18世紀』(編著、彩流社、2003)、『初期オペラの研究』(編著、彩流社、2005)、 『オペラ学の地平』(共編著、彩流社、2009)、“A Song for Kingdoms: Takarazuka's Attempt to Adapt the Opera Aida.” Geilhorn, B., et al., eds. Enacting Culture. Munich, 2012、「ヴェルディとリソルジメント・オペラ」『演劇学論集』(日本演劇学会紀要)57(2014)、「オペラの“虚像”と“実像”」『人文論集』(早稲田大学法学会)53(2015)、等。  

2015年11月7日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所


▼オペラ/音楽劇研究所2015年度10月研究例会(第142回オペラ研究会) 終了

 

オペラ/音楽劇研究所主催シンポジウム

「歌劇場のプログラム分析から見えるもの――音楽劇データベースの構築と利用法」

◇日時:2015年10月10日(土)13:30-17:30
◇会場:早稲田大学早稲田キャンパス 1号館401教室

(主催:早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所、後援:早稲田大学総合研究機構) 

 

◇内容

開会挨拶:荻野 静男(早稲田大学教授・研究所所長)

趣旨説明:岡本 佳子(東京大学学術研究員・研究所招聘研究員)

 

【第1部】中東欧の歌劇場におけるプログラム研究――ワーキンググループ活動報告として

司会:荒又 雄介(大東文化大学准教授・研究所招聘研究員)

 

研究報告:

・若宮 由美(帝京大学非常勤講師・研究所招聘研究員)

 「1865~75 年のウィーン宮廷歌劇場における上演演目」

・岡本 佳子

 「自国語によるオペラの制作状況比較:19 世紀後半のプラハとブダペスト」

・平野 恵美子(東京大学研究員・研究所招聘研究員)

 「1890 年代のロシア帝室劇場のオペラのレパートリー」

・神竹 喜重子(一橋大学科研費研究員・研究所招聘研究員)

 

 「私立マーモントフ歌劇場――ナショナリズムとモダニズムの狭間」 

 

【第2部】音楽劇データベースの活用について

司会:荻野 静男

 

研究動向紹介:

 「近年の音楽劇データベースの公開状況について」

 (「歌劇の上演状況に関する研究」WG による報告)

招待講演:坂部 裕美子(公益財団法人統計情報研究開発センター研究員)

  「興行データベースの作成と活用~歌舞伎を例として~」

全体討論

討論者:

・佐藤 英(日本大学助教・研究所招聘研究員)

 

・東 晴美(群馬県立女子大学非常勤講師・研究所招聘研究員) 

 

[発表内容]

 本シンポジウムは2部構成であり、研究所内ワーキンググループ「歌劇の上演状況に関する研究」の中間報告としての第1部と、外部からの招待講演を中心とする第2部からなった。まず第 1 部「中東欧の歌劇場におけるプログラム研究――ワーキンググループ活動報告として」では、ハプスブルク帝国内のウィーン宮廷歌劇場(若宮氏)、プラハの仮設劇場とブダペストの国民劇場(岡本氏)、さらにロシアの状況としてモスクワとペテルブルクの帝室劇場(平野氏)、私立マーモントフ劇場(神竹氏)について、それぞれの上演演目や言語別の上演傾向に関して比較を交えつつ報告された。 

 ひきつづき第2部「音楽劇データベースの活用について」では、近年公開された音楽劇関連の3種類のデータベースが紹介され、その後、(公財)統計情報研究開発センターの坂部裕美子氏から招待講演が行われた。坂部氏からは(公社)日本俳優協会の「歌舞伎公演データベース」の構築のためのデータ整備における問題点とその解決方法、さらにデータベースを利用した集計結果について、歌舞伎、寄席、宝塚等の様々な例をご紹介いただいた。

 最後に討論者の佐藤氏と東氏から地域・時代を広げた本研究の位置づけについてコメントをいただき、データベースの活用法や今後の作成の可能性について参加者から活発な議論が行われた。構築者と利用者の双方向から意見を出し合うことで、今後の音楽劇研究の方法を模索する場として一定程度の成果を出したと言えるだろう。 

 

[質疑応答]

収録するデータの種類、量、言語や表記の統一方法など、今後作成予定のデータベースについての質問のほか、データのみを量的に分析対象とする研究方法の利点とその限界、仮説の設定などの他の研究方法との組み合わせについて議論が行われた。

 

[参加者]30名

 

◇招待講演者プロフィール

坂部 裕美子 Sakabe Yumiko

 公益財団法人 統計情報研究開発センター研究員。1997年早稲田大学大学院経済学研究科応用経 済学専攻修士課程修了。2000年より現職。14年立命館大学大学院文学研究科人文学専攻(日本文 学専修)博士後期課程修了。博士(文学)。同年より立命館大学アート・リサーチセンター客員研究員。

2015年10月10日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所


▼オペラ/音楽劇研究所 2015年度7月研究例会(第141回オペラ研究会) 終了

 

◇日時:2015年7月11日(土)16:30~19:00

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 18号館 国際会議場 共同研究室(7)   

◇内容:

第1部:オペラ/音楽劇のキーワーズ シリーズ第8回(16:30~17:30)

「ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)」(報告者:金山咲恵)

 

第2部:研究発表(17:30~19:00)

発表者: 孟繁杰

発表題目: 新歌劇『白毛女』の研究 

 

[第2部 研究発表内容】

中国の代表的な歌劇である新歌劇『白毛女』は、1945年、延安魯迅芸術学院の賀敬の、馬可らより集団創作されたもので、後に文化大革命中、映画、バレエ、現代革命京劇にもなった。「旧社会は人間を鬼にするが、新社会は鬼を人間にする」というスローガンのもとで共産党の看板文芸作品となったという。今回の発表では、最初に児童歌舞劇・秧歌劇の様相を確認しながら、新歌劇成立の要因が検討された。これにより、中国における伝統戯曲観と、民族的オペラの発展・普及の関連性が示された。次いで、新歌劇『白毛女』に関する話題が述べられた。音楽の特徴を確認したのち、「東北日報」の調査に基づく作品受容がいかなるものであったか、さらに当該の作品が映画、バレエ、現代革命京劇へとどのように展開されていったかについてもあわせて言及がなされていた。こうした考察を通じて、この作品が中国において独自の上演形態を確立してきたことが明らかにされた。

 

[質疑応答]

『白毛女』の楽譜に関する話題や、日本の創作歌劇との関連性などを中心に、活発な議論が行われた。

 

[参加者]15名

 

◇研究発表 発表者プロフィール

孟繁杰

 中国大連生まれ、2002年大連大学音楽学院音楽科を首席で卒業、同大学に奉職。2004年来日後、オペラ「COSI FAN TUTTE」(Fiordiligi役)、「DON GIOVANNI」(Donna Anna 役)に出演。国立オペラ・カンパニー青いサカナ団の一員として、新国立劇場で日本新作オペラ「アゲハの恋」、「マーマレイド・タウンとパールの森」に出演。2007年から東京学芸大学に留学し、音楽学修士号と音楽教育(声楽)修士号を取得。現在、東京芸術大学博士後期課程在学中。

2015年7月11日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所


▼オペラ/音楽劇研究所 2015年度6月研究例会(第140回オペラ研究会) 終了 

◇日時:2015年6月6日(土)17:00〜18:30 

◇会場:早稲田大学 早稲田キャンパス 18号館 国際会議場 共同研究室(7)

◇内容:オペラ/音楽劇キーワーズ   第7回

   「バロック・オペラ(発掘、再評価、復活上演)」

   「バロック・オペラ(イギリス)」

      報告者:丸本 隆


[参加者]18名 

 

※「キーワーズ」の意見交換会であったため、発表要旨はありません。 

2015年6月6日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
2015年6月6日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2015年度 5月研究例会 (第139回オペラ研究会) 終了

◇日時:2015年5月16日(土)17: 00~18:30

◇会場:早稲田大学 国際会議場(共同研究室7)  

 

◇内容:研究発表

発表者:長谷川 悦朗

発表題目:「オペラ合唱の実践と理論 ―ドイツ語圏の場合―」

 

[内容]

オペラ合唱は研究が盛んであるとは言い難い対象の一つとして位置づけることができる。オペラの歴史は作品と作曲家を縦軸にしつつ記述される傾向が強いが、オペラ合唱の場合は様相が異なる。とりわけドイツ語圏の場合には、劇場に専属するオペラ合唱団がいかにして生成してきたかという制度面についての研究が先行してきた一方で、個別の作品における合唱部分がいかなる発展を遂げてきたかという様式面についての研究は遅滞している。もっとも隣国フランスにおいては早くも17世紀から、合唱はオペラの中で不可欠な要素とみなされ、そして18世紀にはグルックが主導者となり集団舞踊を伴う合唱が定着していた。その一方、ドイツ語圏ではヴァーグナー、イタリアではヴェルディにより、19世紀後半になってようやく本格的なオペラ合唱が揺るぎない地位を確立する。この事情は、現代のオペラ劇場専属合唱団員が劇場側と交わす契約に明記される「合唱オペラ」の演目群のほぼすべてが、19世紀後半以降のものであることからも演繹できる。こうしたオペラ合唱の実践の歴史を参照しつつ、近年の研究の状況を紹介するとともに、オペラ合唱の理論化の必要性を明確にすることが試みられた。

 

[質疑応答](一部紹介)

「ドイツ語圏では民間でのアマチュア合唱の活発化とオペラ作品における合唱曲の本格化との間には相互影響関係が存在していなかったことが判明したという指摘があったが、20世紀は事情が異なるのではないか」という質問があった。これに対して、発表者の関心が19世紀末までに限定されていたため、20世紀に入ってから生じた変化については関知していない旨の回答があった。

[参加者]17名

 

◇発表者プロフィール

長谷川悦朗

 早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了、同博士後期課程単位取得満期退学。1997年から2000年までドイツ学術交流会(DAAD)給費奨学生としてハイデルベルク大学留学。専門は近代ドイツ語圏の舞台文化。近年の研究対象はロルツィングのオペラ作品群。早稲田大学・国立音楽大学・東京音楽大学・他非常勤講師。

2015年5月16日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
2015年5月16日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

▼オペラ/音楽劇研究所 2015年度4月研究例会(第138回オペラ研究会) 終了

 

◇日時:2015年4月18日(土)17:20~18:50

◇会場:早稲田大学 国際会議場(共同研究室7)     

◇内容:研究発表

・発表者:荻野静男

・発表題目:「世界のオペラ研究の動向―2014年度在外研究の体験から」

 

[内容]

 発表者の2014年度在外研究中の体験をもとに、諸外国のオペラ研究の動向に関する発表が行われた。内容は次のとおりである。

 発表者は在外研究前半ベルリン自由大学演劇学科に滞在し、主に現代オペラの分野で啓蒙され

る。またフィールド・ワークとして国立歌劇場等にも通うが、特に強い印象を受けたのはSasha

Waltz & Guests 出演の《タンホイザー》(オペラとダンスとを融合した舞台)であったという。そしてベルリン滞在中にオペラとメディア研究で著名な研究者をアイルランドとイスラエルに訪問し、オペラならびに映画・その他メディアに関し情報交換を行う。

 在外研究後半はアメリカのイェール大学音楽学部に在籍し「オペラ、メディア、テクノロジー」という大学院ゼミに出席する。ゼミ主宰者はG.Kreuzer教授であった。そこでメディア理論、メディア史、ヴァーグナー、現代のオペラとメディア等に関する議論に加わる。

 2014年10月には、グライドボーン・オペラでのコンファレンス「オペラと将来のメディア」に参加。この分野におけるヨーロッパの専門家たちと意見交換を行う。さらに11月のアメリカ音楽学会(総計で300超の発表あり)に出席し、オペラ関係のレクチャーを聴くほか、オペラ映画の専門家と懇談する。

 

[質疑応答](一部紹介)

 質疑応答では「メディア理論家としてはKittler とMcLuhan のみがあげられるのか」という問

いに対し、「いや現代では他にも多数の理論家がおり、なかでもP. Auslander が有名だ」との回答があった。また「アメリカ音楽学会におけるオペラ関係の発表はどの程度の割合なのか」という質問に対し、「約10%程度のように思う」と回答される。その他、活発な質疑応答が行われた。

 

[参加者]26名

 

◇発表者プロフィール

荻野静男

 1954年生まれ。現在、早稲田大学政治経済学部教授。専門は芸術学。2014年4月より一年間ドイツとアメリカでオペラ研究に従事。主にオペラとメディアについて研究。 

2015年4月18日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所
2015年4月18日 (C) 早稲田大学オペラ/音楽劇研究所

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